好きな子の好きなものの話

 

Documentary of 乃木坂46 悲しみの忘れ方 感想

 

秋くらいにBSでやってたAKB48のドキュメンタリーを三作見て、彼女たちの「賞味期限」と消費のされ方や公式の手のひらで踊らされている様子を見てとてもじゃないけど48グループを応援なんて出来なくて、なんて残酷なんだろうと思って、でもやっぱりどこか惹かれるところもあったりして、次は乃木坂のドキュメンタリーを見ることにした。好きな子から借りた。

 

 

 

これは乃木坂46の主要メンバー5人くらいを軸に、それぞれの母親の心情がナレーションとなって描かれていく構成で、テレビの前の綺麗なアイドルは誰かの大切な娘だということを気付かされる。大事な娘へのぶしつけな視線と評価に傷ついたり、応援したり、分からなくなったりする母親の心情は正直辛くて、まだ思春期で柔らかい女の子たちがぶつかり合ったり社会に痛めつけられるのを消費する私(たち)へ罪悪感すら抱いた。「どうして私の大事な娘が他人から評価されなくてはいけないのか」という言葉の重さ。


それでも乃木坂という舞台で戦って、上に行くことを望む女の子たちは、あまりにキチンとしていて、私は少し呆然としてしまった。

いち視聴者としては、48Gは人数が多くて顔も覚えられないしそれぞれの個性もよくわかんないし有象無象のただの集団で、仕事に対する思いとかはまったく分からなくて、可愛い女の子がきゃっきゃしてるなあ、という気持ちしかなかった。でも乃木坂46の女の子たちは、みんな、きちんと生きていた。自分の立ち位置を考えて、何をすべきか、自分は何を持っているか、どこまでいけるのか、なにをしたいのか、考えていた。

普通の女の子だ。普通の、ネガティブで後ろ向きな可愛い女の子。前を向こうとしてる女の子。それで、三万人から選ばれた女の子。

この感情をどう説明したらいいのかわからない。胸が詰まる。

 

このドキュメンタリーで多くの尺を取っていた1人の生駒里奈に、わたしは一番惹かれた。
16人のプリンシパルという公演があった。一幕で自己PRをやって観客が投票、二幕には選ばれた16人しか出られないというシステムのミュージカル。その舞台裏で、センターなのに上位になれない生駒里奈と選抜にいるのに16人の中に入れない松村沙友理が言い合うシーンがある。わたしと一緒にみんな仕事したくないんだ、わたしには何もないんだ、と真顔で言い切る松村沙友理生駒里奈が何もないならここにいるわけない、と泣きながら返す。どうしてそんなに悲しいこと言うの、みんながんばってここに立ってるんだよ、やれることをやればいいんだよ、と朴訥な秋田弁で、泣きじゃくりながら。
自己PRで、生駒里奈は、私は持ってるものは何もありません、と言い切って、それでも何が持てるかこれから考えたい、自分を見つけたい、と言って精悍な顔で客席を見つめていた。
スクールカーストの底辺にいた、と自称する生駒里奈は、アイドルになってすぐに三角形のフォーメーションのてっぺんで踊って、他人に評価されて、それでも、まだ自分を変えたい、と前を向いていて、私はその残酷さと真っ直ぐさに感情が付いて行けなかった。
センターから落ちた時に、駐車場でくるくると回ってスカートを翻しながら、すっきりした!!!!と笑い続ける彼女はなんなのだろう。
ただ、私が見ているのはアイドルなんだな、と思った。

そして、橋本奈々未の凜とした美しさ。先述した松村沙友理生駒里奈の言い合いを黙って見つめていた橋本奈々未は、まさに綺麗なお姉さんで、貧困家庭で、東京に出て美大に通って、お金に困ってアイドルになった、という。夢は家を買うことだと。弟の大学の初年度入学金を払うのだと。松村沙友理のスキャンダルが出た時には、妻子を持っているのに近付く相手の男が悪い、と言い切っていた。どこまでも冷静で理性的で大人な橋本奈々未は、乃木坂46というアイドルにはそぐわないようにさえ感じたが、それでも焦ったり、涙を流してアイドル活動を続けていた。彼女をここまで動かすのはなんなのだろう。家族や弟、金銭面、それだけではないはずだ。きっと楽しくて、美しくて、やりたいからやっているのだ。アイドルが。(去年卒業を発表したけれど)

やめたいとおもって、でも続けて、綺麗な服を着て大勢の前で歌って踊って評価されて、消費されて、やりがいを持って、傷つけられたり、やりとげて涙したり、カメラの前で笑顔でいる女の子たち。

アイドルってなんなのだろう。


去年見たAKBのドキュメンタリーでも思ったが、未だにわからない。やっぱり上にいる大人や消費する無邪気なオタクたちには違和感があるし、AKB48乃木坂46も好きになれたとは思えないけれど、前を向いて、自分を変えようと思って、上に行きたいと思って、青春をアイドルに捧げた少女たちが何人もいることを、私は忘れないでいようと思う。

 

 


ところでジャニーズとか、男性アイドルのドキュメンタリーはないんですかね。見てみたいな。